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入室前または通話中にユーザーのネットワーク品質のテストを行い、ユーザーの現在のネットワーク品質状況を事前に判断することができます。ユーザーのネットワーク品質があまりに悪い場合は、正常な通話品質を保証するため、ネットワーク環境を切り替えるようユーザーに推奨する必要があります。
ここでは、NETWORK_QUALITYイベントに基づいて、通話前にネットワーク品質テストを実施する方法についてご説明します。通話中のネットワーク品質感知は、NETWORK_QUALITYイベントを監視するだけで可能です。

実施フロー

1. TRTC.createClientを呼び出して2つのClientを作成し、それぞれをuplinkClientとdownlinkClientと呼びます。
2. これらのClientで同一のルームに入室します。
3. uplinkClientを使用してプッシュし、NETWORK_QUALITYイベントを監視してアップストリームネットワーク品質をテストします。
4. downlinkClientを使用してプルし、NETWORK_QUALITYイベントを監視してダウンストリームネットワーク品質をテストします。
5. プロセス全体を15秒程度継続し、最後にネットワーク品質の平均をとることで、アップストリームとダウンストリームネットワークの状況をおおよそ判断することができます。
ご注意:
テストの過程で少額の基本サービス料金が発生します。プッシュの解像度を指定しない場合、デフォルトでは640*480の解像度でプッシュを行います。

コード例

let uplinkClient = null; // アップストリームネットワーク品質のテストに使用します
let downlinkClient = null; // ダウンストリームネットワーク品質のテストに使用します
let localStream = null; // テスト用のストリームです
let testResult = {
// アップストリームネットワーク品質データを記録します
uplinkNetworkQualities: [],
// ダウンストリームネットワーク品質データを記録します
downlinkNetworkQualities: [],
average: {
uplinkNetworkQuality: 0,
downlinkNetworkQuality: 0
}
}

// 1. アップストリームネットワーク品質をテストします
async function testUplinkNetworkQuality() {
uplinkClient = TRTC.createClient({
sdkAppId: 0, // sdkAppIdを入力
userId: 'user_uplink_test',
userSig: '', // uplink_testのuserSig
mode: 'rtc'
});

localStream = TRTC.createStream({ audio: true, video: true });
// 実際の業務シナリオに応じてvideo profileを設定します
localStream.setVideoProfile('480p');
await localStream.initialize();

uplinkClient.on('network-quality', event => {
const { uplinkNetworkQuality } = event;
testResult.uplinkNetworkQualities.push(uplinkNetworkQuality);
});

// テスト用のルームに入室します。競合防止のため、ルームナンバーはランダムにします
await uplinkClient.join({ roomId: 8080 });
await uplinkClient.publish(localStream);
}

// 2. ダウンストリームネットワーク品質をテストします
async function testDownlinkNetworkQuality() {
downlinkClient = TRTC.createClient({
sdkAppId: 0, // sdkAppIdを入力
userId: 'user_downlink_test',
userSig: '', // userSig
mode: 'rtc'
});

downlinkClient.on('stream-added', async event => {
await downlinkClient.subscribe(event.stream, { audio: true, video: true });
// サブスクリプション成功後、ネットワーク品質イベントの監視を開始します
downlinkClient.on('network-quality', event => {
const { downlinkNetworkQuality } = event;
testResult.downlinkNetworkQualities.push(downlinkNetworkQuality);
});
})
// テスト用のルームに入室します。競合防止のため、ルームナンバーはランダムにします
await downlinkClient.join({ roomId: 8080 });
}

// 3. テストを開始します
testUplinkNetworkQuality();
testDownlinkNetworkQuality();

// 4. 15秒後にテストを停止し、平均ネットワーク品質を計算します
setTimeout(() => {
// アップストリーム平均ネットワーク品質を計算します
if (testResult.uplinkNetworkQualities.length > 0) {
testResult.average.uplinkNetworkQuality = Math.ceil(
testResult.uplinkNetworkQualities.reduce((value, current) => value + current, 0) / testResult.uplinkNetworkQualities.length
);
}

if (testResult.downlinkNetworkQualities.length > 0) {
// ダウンストリーム平均ネットワーク品質を計算します
testResult.average.downlinkNetworkQuality = Math.ceil(
testResult.downlinkNetworkQualities.reduce((value, current) => value + current, 0) / testResult.downlinkNetworkQualities.length
);
}

// テストを終了し、関連のステータスを消去します。
uplinkClient.leave();
downlinkClient.leave();
localStream.close();
}, 15 * 1000);

結果の分析

上記のステップにより、アップストリーム平均ネットワーク品質、ダウンストリーム平均ネットワーク品質を取得できます。ネットワーク品質の列挙値は次のとおりです。
数値
意味
0
ネットワークの状況は不明。現在のclientインスタンスが アップストリーム/ダウンストリーム接続を確立していないことを表します
1
ネットワーク状況は極めて良好
2
ネットワーク状況は比較的良好
3
ネットワーク状況は普通
4
ネットワーク状況は不良
5
ネットワーク状況は極めて不良
6
ネットワーク接続が切断されている。
注意:ダウンストリームネットワーク品質がこの値の場合は、すべてのダウンストリーム接続が切断されていることを表します
推奨事項:
ネットワーク品質の値が3より大きい場合は、ネットワークをチェックしてネットワーク環境の切り替えを試すようユーザーに促す必要があり、そうしなければ正常なオーディオビデオ通話品質を保証することは困難です。
あるいは、下記のポリシーによって帯域幅の消費を抑えることも可能です。
アップストリームネットワーク品質の値が3より大きい場合は、LocalStream.setVideoProfile()インターフェースによってビットレートを下げるか、またはLocalStream.muteVideo()メソッドによってビデオをオフにし、アップストリーム帯域幅の消費を抑えることができます。
ダウンストリームネットワーク品質の値が3より大きい場合は、スモールストリームのサブスクリプション(参考:デュアルストリームの伝送を有効にする)またはオーディオのみのサブスクリプションを行う方法で、ダウンストリーム帯域幅の消費を抑えることができます。